
こんにちは。不動産投資トラブル情報局です。
不動産投資を行うとなると不動産売買はもちろん、不動産管理会社とも取引が発生することが多いです。
不動産業界はトラブルが多いのが特徴で、不動産管理会社とオーナーの間でトラブルになることは珍しくありません。
最近でも、オーナーが管理会社を訴える訴訟がありました。
訴えられたのは大手不動産会社のエイブルです。
この記事ではエイブル架空請求事件について分かりやすく解説します。
エイブルとは?


エイブルとは、不動産の賃貸仲介を行うほか、不動産オーナーに変わって管理業務を行う不動産業者です。
管理を請け負っているオーナーの不動産を売買仲介することもあります。
全国にフランチャイズ展開をしている他、リフォームや引越し、パーキングなど住まいに関する関連会社をネットワークとして複数持っています。
フランチャイズ展開しているため、店舗により直営店かフランチャイズかの違いはありますが、不動産管理会社の中では超大手の会社です。
賃貸仲介手数料が0.5ヶ月なので、賃貸物件をお探しの方には良心的な不動産会社に見えるのではないでしょうか。
知名度がありますので客付力は高く、オーナーにとっても頼りになる面はある会社だと思います。
エイブル架空請求問題を分かりやすく解説


エイブル架空請求問題とは、大阪市内に複数のマンションを所有しているファインマネジメントが、物件管理をエイブルに委託していたところ、行っていないリフォームに関する架空請求を受けたとして、その損害金2憶8,000万円の損害賠償を提訴したというものです。
ファインマネジメントは、2010年ごろからマンションの管理をエイブルに管理委託し、家賃徴収から物件管理を全て任せていました。
架空請求が明るみに出たきっかけは、エイブルからの賃料支払いが滞り、それに対する調査を行った結果、約400件の架空修繕費請求の事実が分かったのです。
架空請求された修繕費の内容は、居住スペースをホテル仕様へリフォームするための費用6,150万円を始め、水漏れなどの緊急工事費用5,255万円などが含まれます。
しかし実際には、これらの工事は行われておらず、水漏れが起こった部屋も放置されたために入居者の新規募集がかけられなくなり、空室損失が発生してしまいました。
この空室損失に関しては、6,544万円の損害賠償請求がされています。
その他、エイブルからの賃料未払い分が5,056万円、10年間の業務委託費用として支払った2,364万円、また裁判による弁護士費用として2,537万円も合わせて請求しています。
エイブルの架空請求に対しての姿勢と外部の意見


この損害賠償に対して、エイブルでは「派遣社員が勝手にしたことで、会社は一切関係ない」という姿勢です。
派遣社員が不正に関与したことは認めましたが、社内手続きを経たものではないので、会社は関係ないという姿勢で裁判でも争う姿勢を見せています。
エイブルが主張する「一個人がしたことなので、会社は知らなかった」ということは、実際に可能なのでしょうか?
もしも本当に1人の担当者がすべての手続を担当し、他の誰にも知られることがなければ理論的には可能かもしれません。
しかし、他の不動産管理会社の多くは、小規模な架空請求ならいざ知らず、エイブルのように大きな規模の架空請求が行われていて、誰にも見つからずに実行したという主張には、とても無理があると声を揃えます。
多くの管理会社では、リフォーム事業を内設していないため、物件のリフォームにおいては必ず外部のリフォーム施工業者が関わります。そのため、1人が誰にもバレずに全ての悪事を働くことは、とても難しいものです。
また実際にリフォームを行った場合には、どこをどんな風に修繕したのかという点を写真付きでオーナーに報告を行います。
さらに、その報告書は管理会社の一担当者だけが管理するわけではなく、担当者の上司なども目を通すなど、フローが確立されていることによって複数人が関わるという流れになっているのが一般的です。
エイブルは何かしらの方法でこうした悪事がバレにくい環境があったのかもしれませんが、派遣社員が悪事を働いている以上、会社の責任も問われると考えてしまいます。
実際にエイブルの主張が裁判で認められるのかどうかについては、今後の裁判の行方を見守ることになります。
まとめ


もし現在不動産を所有していて管理はすべて管理会社に丸投げしているというオーナーがいたら、今後はこうした架空請求のリスクがあるという点を認識しておいた方が良いでしょう。
管理会社と密にコミュニケーションを取りながら、物件の管理にもかかわりを持つことが大切かもしれません。
金額の大小はありますが、不動産管理会社による架空請求は意外とあるものです。
エイブルに限った話ではなく、不動産管理会社を信用しすぎると危険かもしれません。