現代の高齢者は「不動産は価値がある」という考えで育ってきています。
実際に「子供に家を残す!」「家は財産だ!」等と言う高齢者は多いのではないでしょうか。
確かに価値のある場所にある不動産は財産になりますが、不動産全てに価値があるとは言えない時代になっています。
最近では不動産のことを「富動産」「普動産」「負動産」「腐動産」等と区別して表すようになってきました。
価値のない不動産を相続したことで大変な目に遭っている人もいます。
この記事では、負動産について分かりやすく解説します。
負動産とは? 負動産の概要を解説!
負動産とは、「価値がない又は、収益をもたらすのではなく何かしらのマイナス要素があり赤字を生み出す不動産」を指します。
投資もしくは運用のために保有しているものであっても、代々引き継いでいる不動産であっても、こうした状況になることがあります。
通常不動産は賃貸によって収入を得たり、その土地を有効活用して事業をしたり、マイホームとして利用しながら経済面でプラスの価値を生み出すものです。
一方で、不動産を持つことによって生じる支出も少なくありません。
固定資産税や土地や建物のメンテナンス費用、手続きをするための諸費用などがかかります。
そのため、所有不動産から一定の収入が発生しないと赤字になってしまいます。
価値のある不動産の場合、支出が発生したとしても売却時に元を取れますが、定常的に赤字が続き、価値がないとなると問題を生み出す負動産となってしまいます。
こうした収益に悪影響を与える不動産は、できるだけ早く手放したいと思うオーナーが多いです。
しかし、希望する売却金額では買い手が納得してくれないとか、そもそも有効活用する手段が見出せない物件で買い手が存在しないなど手放したくても売れないのが現実です。
保有している間、手持ち資金を目減りさせキャッシュフローを悪化させる原因となるのです。
そんな赤字を生み出す不動産を相続してしまったら最悪ですよね。
しかし現実問題、負動産を相続してしまう人は多いです。
負動産の具体例
大まかに見て、負動産というのは上で示したように収益性が悪く、赤字を垂れ流すような物件であり、処分するのにも困るという不動産です。
こうした問題を生み出す負動産の種類はいくつもあり、それぞれに原因と問題点が異なります。
具体的にどんなタイプの物件が負動産なのか知り、できるだけ早く手放したり有効活用する方法を探る必要があります。
負動産の具体例① 築古で空室が多い賃貸物件
賃貸用不動産はある程度の入居率を達成しないと経営が成り立ちません。
賃貸物件には一軒家、アパート、マンションなどの種類がありますが、どの不動産タイプであっても、オーナー側にコストが常にかかります。
例えば、日常的にに生じる日々の点検や清掃などのメンテナンス費用、不定期に生じる細かな修繕費用や大規模修繕、管理会社に管理を依頼しているのであれば、管理費用もかかってきます。
空室であろうが固定資産税は必ずかかる税金で、大規模な賃貸物件となると田舎でも年間100万円以上かかることがあり、毎年の固定資産税の納付は大きな負担となります。
大規模な賃貸物件の場合、大規模修繕費用も高額で1000万円以上かかることは普通です。
空室が多い物件や、満室であっても賃料が低い地域の賃貸物件は負動産になる可能性が高いです。
負動産の具体例② 価値のない物件
地方で不便な場所にある不動産や、土地、山林、農地などは価値がないことが多いです。
この不動産を活用するにもハードルが高く、 収益を出すのが難しいケースが多く見られます。
地方の不便な住宅で入居者を見つけるのは簡単ではありませんし、建て替えやリフォームをしてまで住みたい人はほとんどいないでしょう。
また山林や農地は、そこに住んでいて実際に作業できる人であれば良いのですが、遠方の土地を相続したような人にとっては管理するのも一苦労です。
当然管理するのにもお金がかかりますし、こうした土地にも固定資産税がかかります。
管理をしなければ良いと思う人もいるでしょうが、きちんと整備やメンテナンスができないと建物や土地が荒れてきます。
建物が倒壊したり、雑草問題が起きたり、山林の場合は強風で木が倒れ、周辺の建物や自動車に被害が出てしまうリスクもあります。
当然責任は所有者にありますから、管理を放棄することは出来ずお金をかけて管理するしかありません。
負動産の具体例③ バブル期のリゾートマンション
バブル期のリゾートマンションは、スキー、海水浴などを楽しむような場所に建設されていて、大浴場やサウナ施設が付いていることが多く、ぱっと見豪華な印象があります。
しかし、このような不動産が100万円以下で多く売り出されていて、中には10万円以下の物もあります。
なぜこんなに安いのかというと維持費が膨大にかかるからです。
無駄に設備が豪華なため管理費と修繕積立金が高額で、年間数十万円以上かかることは珍しくありません。
また、自宅でないことから管理費と修繕積立金を滞納する人もいて、マンション管理組合の修繕積立金が不足していることもあります。
バブル期のマンションですから、築40年前後であり、メンテナンスしないと維持出来ません。
修繕積立金が不足している場合は、月々の管理費と修繕積立金以外に大規模修繕のための一時金が徴収されることもあります。
このようにマイナスを生み出すリゾートマンションであれば、所有し続ける間どんどんお金が無くなっていきます。
早めに何かしらの方法を考えないと危険です。
まとめ
この負動産問題は、まだ社会問題化されていませんが近い将来、大問題になるでしょう。
既に不動産業界では負動産問題が取り上げられていますが、一般の人に問題が浸透するまでにタイムラグがあります。
もし一般的に負動産問題が浸透したら負動産は売れなくなります。
現時点ではババ抜き合戦が行われている状態で、何とか売り抜けられる可能性がありますが、近い将来は売り抜けること自体が厳しくなると予想しています。
団塊の世代の親族がこのような負動産を所有している場合、相続時にトラブルになりやすいので対策することをおすすめします。
負動産を残すことは、子供たちに迷惑をかけることになります。
面倒だからと問題を先送りしていると一家離散になりかねませんのでご注意ください。