不動産投資を行うにあたり、知らないと損するのが宅地建物取引業法と宅地建物取引業者のルールです。
不動産業界は嘘が多く、法律で定められていたとしても法律が守られているとは限りません。
つまり、不動産投資で失敗しないためには、自分自身で知識を付け、不動産業者の言動がおかしくないか注意しながら進めなければなりません。
不動産の知識がないと騙されてしまう可能性があります。
この記事では、宅地建物取引業法と宅地建物取引業者を分かりやすく解説します。
宅地建物取引業法とは?
宅地建物取引業法とは、宅地やアパートやマンションなどの建物を取引する際のルールを定めた法律のことです。
こうした取引を業務として行う場合には、宅地建物取引主任者、略して宅建と呼ばれる資格が必要となります。
そのため、宅地建物取引業法では、その資格保有者が行う業務についても定めています。
不動産に関わる業務はたくさんあり、マンションやテナントの管理や住民対応といったものもあります。
しかし、この法律においては、あくまでも宅地やアパートといった建物を取引する業務に限定されていて、管理などのルールは取り扱っていません。
具体的には、宅地・建物の売買や交換、その代理をする業務について定めています。
また、売買や交換、そして賃借の媒介契約に携わる業務についてもルールを定めています。
宅地建物取引業務を行うにあたっては、必ず国土交通大臣か都道府県の知事によって交付される免許を持っていないといけません。
そして、この法律に定められている内容に沿って業務を行っていくわけですが、法律を守らないと最悪の場合、免許取り消しなどのペナルティを受けることになります。
免許取り消しまでに至らなくても、指示処分を受けて業務改善をすることや、業務停止といった措置を受けてしまうこともあります。
消費者としては、マンションなどの物件を賃貸したり売買したりする時、また不動産オーナーとなって不動産業者と関わる時に、この法律に沿ったサービスを提供しているかを確認することが大事です。
不動産業者は確かに宅地建物取引業についての免許を持っていることを示すために、事務所に「宅地建物取引業者票」を掲げていなければなりません。
また、この免許は5年ごとに更新する必要があります。
不動産の取引をする際には、過去に処分を受けていないか、ルールを守っている業者チェックすることで、信頼性の判断ができます。
宅地建物取引業法が存在する目的は「消費者保護」
宅地建物取引業法が制定された一つの大きな目的は、消費者を保護することにあります。
不動産取引に関する法律や慣習というのは複雑で、素人には理解が難しい点がたくさんあります。
そのため、消費者が不利にならないように、こうした法律でしっかりと権利と財産を守れるようにしています。
宅地や建物についての広告は正確で、誤解を与えるようなものにしてはいけないと定められています。
たとえば、物件の立地や大きさ、法律上の制限などについて、実際の条件よりも優れていると思わせるような内容にしてはいけません。
新築の分譲マンションや建売住宅などの販売については、実際に建物が完成する前に販売を行うことになります。
消費者は完成した状態を目で見て確認できないため、建築に伴い、必要とされる許可や建築確認などを済ませてからでないと、物件についての広告を出せないということも定められています。
重要事項説明は特に重視されている
そして、法律の中で特に重視されているのが、重要事項の説明です。
物件の賃貸や売買などの取引契約を結ぶ際には、必ずその物件に関わる重要なポイントを関係者に説明しなくてはなりません。
この重要事項説明は、宅地建物取引士の資格を持つ人が、その資格証を見せた上で行うことを求めています。
こうすることで、確実に 宅地建物取引士から説明を受けられるようにしています。
重要事項説明の内容としては、たとえば登記に記されている権利のタイプやその内容といったものがあります。
登記に抵当権などが設定されていないかを確実に知ることができますので、トラブルを避けるのに役立ちます。
また、ガスや電気、水道などのライフラインの供給状況、私道が関係するならその負担についてや契約についての説明も行い、ローンを組む場合には、現金払いの場合の金額とローン金額の両方を伝えます。
土地が土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域に含まれているかなどの説明もしないといけないことになっています。
これから住むところが、災害の面で安全かどうかを確認するために欠かせない点となり、消費者保護につながります。
そして当然のことですが、取引については必ず契約書を作り、双方の合意の上で締結することを求めています。
この契約書と一緒に、上記の重要事項についての説明も書面にして添付することが必要となります。
契約を結ぶ前に重要事項説明を行い契約に至る流れですから、重要事項説明を行わないで先に契約をさせるような業者は警戒した方が良いでしょう。
一定の条件下で、クーリングオフができることも定められています。
条件を満たし、契約から8日以内であれば、損害賠償金や違約金なしで、契約を解除できることになっています。
宅地建物取引業者の決まり:専任の宅地建物取引士の仕事内容とルール
宅地建物の取引は複雑な内容で、専門性と信頼性が求められます。
そのため、単に宅地建物取引士が事務所に在籍していれば良いわけではありません。
いわゆる名義貸しのようなものが横行して、実質的に意味のない制度とならないようにするためです。
事業所としてこの種の業務を営むためには、事務所ごとに専任の宅地建物取引士を指定する必要があります。
簡単にいうと、事務所の責任者を明確にするということです。
専任の宅地建物取引士というのは、単に資格を持っているというだけでなく、常勤しているかということが関係します。
つまり、パートのような形で週に数日だけ勤務しているとか、いろいろな事務所を動いて仕事をしているということではなく、その事務所に常駐していなければなりません。
また、専従性も問われ、“専ら”宅地建物取引業者に従事することが求められます。
つまり、基本的に他の業務との兼業は認められておらず、専任者として専らその業務を行うべきであり、業者の監督などを行う監査役は専任宅地建物取引士として働けないことになっています。
専任者であるからといって、他の宅地建物取引士と業務内容が変わるわけではありません。
同じように、お客様への重要事項説明や書類作成などを行います。
異なる業務をするというよりも、その事務所に必ず資格保有者が常駐していることをはっきりとさせるために、こうした専任というポジションが定められているわけです。
一つの事務所で、取引従事者5人に付き1人以上の専任者を確保することが必要となります。
宅地建物取引業者の禁止事項
宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者がすべきこと、そして禁止している行為についても定めています。
その一つが、仲介手数料の上限以上の報酬請求です。
法律の中で、報酬は「3%+6万円+消費税」という上限額が定められていて、この額を超えて請求することは禁止されています 。
また、実際に存在していない物件や条件で広告を出すことも 禁止されています 。
これはおとり広告と呼ばれるもので、非常に良い条件の物件を宣伝することで問い合わせ数を増やし、別の不動産の契約をさせる手法です。
契約の際は、契約を急がせる行為やプレッシャーをかける行為も禁止されています。
例えば、消費者が考える時間が欲しいと言っているのに、「今この場で決めていただかないと、この条件では契約できない」と言って契約させるような行為です。
これは守っていない業者が多い気がしますが、営業や契約の際に、消費者に不利な事実を隠すことも禁止です。
たとえば、近隣に騒音や異臭を出す施設があることを隠している、事故物件について告知しないといったことがあります。
どこまでが消費者に不利な事実になるかが問題ですが、聞かれないと答えない業者もいます。
まとめ
このように宅地建物取引業法では禁止事項が定められていますが、実際守っていない業者がたくさんいます。
スルガ不正融資やなんちゃって投資はその例でかなり悪質でした。
一部の宅建業者は処分を受けましたが、非常に軽い処分で批判があがっています。
宅地建物取引業法を守って営業している不動産業者の方が多いと思いますが、悪質な業者もかなり多いので自己防衛するしかありません。
宅地建物取引業者がすべきことと禁止事項を理解し、何かおかしいと思ったら取引をやめることをおすすめします。